それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
 
なんか知らない。
   おまえはいつも絵を描いてた、絵ぇ巧かったなぁ。
  いいや、おまえなんか知らない。
   おいっ、ちょっとでもええから呑ませてくれや!
  おまえはだれだ?
   友だちや。
  タイムカプセルはどうした?
   タイムカプセル?
   おまえ、呼ばれんかったか?
 おれは黙ってやつに壜を差しだした。ふたくちほど呑まれて壜はもどってきた。どうだっていい。
  これで気が済んだか?
   まあな。──おれんちに来いや。
  いいや、おまえなんか知らない。
   おれは知ってるんやで、おまえのことなんか。
  じゃあ、いってみろ。
   おまえは勉
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