それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
うかと考える。けっきょく、それまでの作品をまとめることにした。水彩画と写真、そして詩歌。なるべく量を抑えて、クリップで留める。そのページの最後に「好きでした」と書いた。これを渡そう。
朝、エレヴェータにかの女がいた。どうしようもなくうれしかったが、あしたでかの女とはお別れだ。できるだだけ話そう、話しかけようと考えた。かの女と眼があった。――おはよう。――かの女が応える。――おはよう。
きのう、ぜんぜん寝てなくてね。
わたしも、ずっとゲームしてた。
おれはギター弾いてた。
かの女は悦んだ。じぶんもまえにバンドをやってたといい、いまもギターとベースが室にあるといった。いまは
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