それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
好きなだけ凍えてればいい。
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欠勤した。午の2時まで眠って、それから酒を買いにいった。ほとんどの金が酒で喪われていく。ぼくは週ふつか欠勤する。あの子もだ。室に帰って音楽をかけ、両切りに火をつける。完璧だった。きょうはスコッチを仕入れた。シングル・モルトの。4千円もした。ネットを見る。相も変わらず、ぼくの作品に反応はない。書くことの意味を見失いそうになる。詩誌のほうでも掲載の連絡なしと来た。日常の、ありふれた奇跡、そんなものすらここにはない。3年まえのことをおもいだす。ホ
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