それはまるで毛布のなかの両の手みたいで/中田満帆
 

  おれはずっと手のうちをあかしてる、ごまかしてるのはおまえのほうだ。
  おまえの目的はなんだ?
   いまなにをしてる?
  それを訊いてどうする?
   それを話さないでどうすんねん?
  倉庫作業員、照明器具のな。
   おれは営業や。
   くそみたいな仕事や、――でも、おまえは楽やな、人間じゃなくて品物相手の仕事なんやから。
  女がいるんだろ、文句はいえないよ。
   女なんてトラブルの一種やで。
   あーだ、こーだ、うるさいわりにろくなことにならへんし。
   あんなもん、おまえにやるわ。
  じゃあ、なんで童貞だなんて持ちだすんだ?
  新歓なん
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