LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
 
、わたしは両腕を真横にのばして、手首のところで、はげしく手をはばたかせて、パタパタと空中に浮揚すると、階段のうえに自分の身体を浮かせながら、二階から一階へと、ゆっくりと下降していった。


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自分の遺伝子を家畜に、というアイデアは、おもしろいと思った。たぶん、未来の食卓では、自分の遺伝子をもったレタスやトマトやキュウリなどのサラダが食べられると思う。自分の自我にまみれた詩が、自分にとっておもしろいものなのだから、自分の遺伝子をもったサラダもおいしいはずである。


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食べたい。


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記憶障害を30代のときに起こしたことがある。大
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