おれの徒然〈34〉「敗戦記念日」篇/中田満帆
乗って酷い目にあった人間のリストで歴史の図書館は一杯だからな。……だがあんたは知ってる筈だ。正義の戦争と不正義の平和の差は、そう明瞭なものじゃない。平和という言葉が嘘つきたちの正義になってから、俺たちは俺たちの平和を信じることができずにいるんだ。戦争が平和を生むように、平和もまた戦争を生む……単に戦争ではないというだけの消極的平和は、いずれ実体としての戦争によって埋め合わされる……そう思ったことはないか?」(映画『パトレイバー2』より)
****
鈴木清順の映画『春婦伝』では支那大陸で春をひさぐ晴美という慰安婦が登場する。そして新兵・三上と出会い、逃避行の末ともに死ぬのだが、この
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)