おれの徒然〈34〉「敗戦記念日」篇/中田満帆
 
この作品でおもに描かれているのは軍隊への組織批判である。天皇の威を借りる士官たち、まぼろしの五族協和、大東亜の夢に泥酔した兵士たちの無惨な骸をだれが抱いてやれたのか。いまもって罪人として裁きつづけるのか、それとも時代のせいにするのか、将又ひとりひとりが心のなかで赦すのか。BBCを観ろよ、あれじゃ、まるで勝ったのが正義だっていっているのとおなじだ。猿でもできる反省を戦勝国はしない。だれも謝らない。この価値観にいつまでひれ伏すのか。
 ほかの国や、ほかのやつらのことはどうでもいい。おれは降りる。善人になるつもりはない。おれは悪童でいたい。疎開先で妹を失った祖父が眠っているだろう、どこかの町の病院を懐い浮かべるだけである。

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 その反省の結果とやらをロシア・ウクライナ戦争に接続して考える必要があるようにおもうが、生憎知力がおれにない。だれか、やってくれ。

 
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