おれの徒然〈34〉「敗戦記念日」篇/中田満帆
のようにいう。まるで日本人だけが狂っていたかのようにいう。それについておれはうんざりだ。もうそういった話には加わらない。深夜の討論番組で辻元清美が「他虐史観」と書かれたパネルをあげてから、もう20年いじょうが経っている。おれは云いたい、おれは罪人じゃねえと。べつに愛国心は欲しくはないが、自虐心というものは消していきたい。おれはものを書く過程で、多くの人間を傷つけて来たが、それらは作品の完成によってすべてが贖われたと信じたい。でなけりゃ、いったいなんなんだ? おれはただ屁を放いてただけなのか? おれが他人や世界から受け取ったものがすべて戯言でしたというわけか?──ちがう。戦争というのはただの口実に過
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