COME TOGETHER。/田中宏輔
ぼくは、ぼくの目や鼻や口を、ぼくの顔からはずして、テーブルの角や、冷えたコーヒーカップの取っ手のうえとか、本棚の最上段に置いてみたりした。すると、まったく新鮮な感覚でもって、ものを眺めることができ、もののにおいを嗅ぐことができ、ものの味を味わうことができるのだった。
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日に焼けたヨガの達人たちが、何百万人も、海のうえでヨガをしながら、日本の海岸に漂ってきた。
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おれはもうガマンができない。おれの顔や腹を、ボカッ、ドスッ、ドカーンッと殴った。倒れかかる瞬間のおれを着色する。鮮やかな青色のおれ。鮮やかな紫色のおれ。鮮やかな黄色のおれ。倒れかか
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