歌留多めくらず語ル鳥/歌留多カタリ
その立ち姿術のありようを
動画したら問うのであろうか
なかろうほどにも陰唇(ほと)がある
真新しい春先の緑に包まれ
粟田口に聞き耳たて
聞くともなく聞いてはいたのである
託され旅の褒め言葉書き言葉
そのいまわのきわに歩き疲れた旅女が
大風呂敷をひろげにひろげ
水際の泥水てのひらに掬い
¬どうだいおまいさん方
ひと思いにこいつを飲みほしてみちゃあー」
囁き声のするほうに身をよじり首ひねり
ゴクリと呑み込む真似をする
細くうなだれた扁桃腺の軌道を
周回遅れに
転がり落ちていく輩こそ
他でもない
おまいさんがたじゃないのかい
もはや記憶に刻まれぬ王国なん
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