一鳴きもせず/秋葉竹
水晶を通してみえる感じの朝の陽光
部屋から不純な悲しみを洗い去ってくれる
そしてあとには真っ白な夢だけが残る
カラスが一羽飛んでいってしまった
一鳴きもせず
不幸を私から連れ去るように
私の心は平穏に覆われて
心の中で手を合わせて
北の国の悪鬼羅刹の有り様の平和さえ祈るよ
それは何処でもなく
それは何処でもいい
私の心の平穏がゆきつく果ての夢の山脈
金魚雲がゆっくりと泳いでいる
山脈雲にゆっくりとぶつかって
白い風がただ知られたことを知って吹く
街に
ノアの子孫を名乗る美しい街女が立ち
滅びの冒涜を諌めようと泣いている
何処かに
憩
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