一鳴きもせず/秋葉竹
 

憩うべき土地は無いのだろうかと
子猫を抱きながら泣いている

にんげんは
珍しく優しくなれる日がある
今朝がそうだったから

朝から冷たい牛乳を飲み干す
水晶を通してみればいい
彼女も平穏な気分になれるかも

そう想って大きく深呼吸して
ゆっくりと泳ぐ煌めきの風の中を
山脈に吸い寄せられる金魚の音と捉える

いつもの時間が止まりさえすれば
私は彼女にちゃんと声を掛けようと想う
生きて来たお詫びと感謝を知っているから

夜になればまた私も彼女も
すべてを忘れてしまうくらい
なにかに酔わされるのかもしれないけれども








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