詩の博物館/ハァモニィベル
ながいこと火鉢の炭をつついてゐた。何か喜びにあひたい。
もう床へ入つてから二時間はたつてゐる。
この、真っ暗な部屋に眼をさましてゐて
蒲団の中で動かしてゐる足が私の何なのかがわからない〈亀之助〉
街が低く凹んで夕陽が溜つてゐる
花屋の店で私は花を買つてゐた
私は手に赤い花を持つて家へ帰つた
庭の隅の隣りの物干に女の着物がかゝつてゐる
昼寝が、その夢を置いていつた 〈亀之助〉
窓はわれわれの幾何學――
その大いなる額縁のなかに
人生を いとも簡單に 無雜作に
区切つてゐる
図形だ。〈辰雄〉
戀(こい)する少女が、身じろが
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