『詩人さん』の海りんご/秋葉竹
 
まれて
なにを求めて生きるのか
そんなことばかり、考えている
考えている、考えている
考えても、考えても
そういう問いに答えはないというのに
運がよかったら、なにかの僥倖があれば
もしかすれば、みつかるかもしれない
まるで龍王に出会える確率みたいな
稀代の聖者と語れる確率みたいな
それらは
朝も昼も夜もなく
考えつづけているという

それらの名もなきいきものの名を
海りんごと云う

お世辞にも
役に立つとは云えず
やっぱり美しいとは云えず
それら海りんごたちは
同種というだけで
仲良くなどできるわけもなく
ただ生きることを
まるで仕事のように
こな
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