『詩人さん』の海りんご/秋葉竹
こなす
燃えるような希望もなく
癒すほどの優しさもなく
ただただ永くは生きつづけるがゆえに
なにもかもをみて来た
なにもかもを識った
ただ生きることを
まるで臆病もののように
生き、生き、生き、つづける
それらの身が
かたくなにおのが死をのぞまないかぎり
生き、生き、生き、生き、つづける
まるで悪夢に怯える臆病な怠惰のように
なんども、なんども、なんども、
繰り返し、つづける
逃げることだけに、肯じえず
悲しみの涙を流したとしても
それを
神さえも
知らずひそりと浮き沈む
さだめの外の海りんごたち
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