天国は展開の極意 四章/菊西 夕座
 

無意識の座敷に一抹の不安もともすことなく、生きた鼓動に愛図を受けて瞬発するだろう

そうであればこそ私が生きてあるうちは、苦しみや悲しみにたえて戦い抜く必要があり
むしろ死者たちに生かされている現身として、燃え尽きるまで命をまっとうする役目がある
疲れ切ってようやく眠りが私を開放するとき、よろこんで最愛の亡霊に心室をあけわたし
そこからあふれ出る血潮の暗い涙によって、あなたが永遠にひとりでないことを告げよう

陰森とした裏はずれの荒屋敷に存在価値をもたらすのは、天国の役目ではなく悪霊の領分だった
世に見捨てられた存在を無理に引き立てるのではなく、その影にこそ豊穣が宿ると逆立ちす
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