天国は展開の極意 四章/
菊西 夕座
ちするのだから
よって悪は襖の汚れの染みから不気味な人の表情を浮かばせ、古い床の軋みを亡霊の足音にかえる
荒れ放題の雑草はもはや絡みつく女の毛髪であり、苔むした岩はいつしか小石を生む産婦石と呼ばれる
天国よりも豊かなる楽園は地上の幻想に育まれ、文字は語られることで記号から詩歌へと昇華していく
だが天国もまた悪霊をゆりかごに戻すだけの力をもち、生者のうちに死者を結わえて一切の芝居を締める
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