わたしの場合毒虫ではなく/ただのみきや
 
ひたすら激し
く対流し脇の下をつめたい汗が伝うし海藻まみれだし立
ち食いソバは喰いたくなるし無性にセックスはしたくな
るし───ともかく追い詰められていた まるで延々と
積み重ねて来た嘘が今すべて瓦解してしまうような 悪
夢が現実であると理詰めで証明されて認めざるを得ない
ような 今まさにそんな何かに直面しているようだった

自分を救うのだ! だがいったいどうやって? わたし
はわたしという全存在を力まかせに乾いた雑巾でも絞る
ようにして思案を重ねていた 1分間にいくつの知恵の
輪を腕力だけで外せるか 知恵とは力 脳は筋肉 事態
の収拾のためならどんな荒事だって厭いはしない
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