原子論/fujisaki
ラな状況で、高速で走っているんだなんて。それで、雨がザーザーふっている。誰かが世界の終わりみたいだと言う。 荒々しく、河面が変色している。河から飛んでくる雨もあるんだろうと思う。ガラスが濡れる。ガラスにもたれる僕は濡れない。その薄さ。原子は身をよせあってかたまって、やっとガラスは透きとおる。純度。あの黒い雲の向こうに太陽は今も光っているんだよなあとなんかキザな気分でいると後ろの席の誰かが僕にちょっかいをだす。
家族で西へ向かっている時、見たんだ。きれいだった。太陽が雲のふちから顔をのぞかせて、光る。世界が裂けているみたいだった。割れているみたいだった。家族4 人ですごいねって、お兄ちゃん案外
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