あの夜の何処かで/ホロウ・シカエルボク
れるばかりだっていうのにね…政治に国を変えることは出来ない、スローガンや税率が変わるだけのことさ、そんなものにのめり込んでいい気分になってるやつらのことなんか俺には理解出来ない、今日最後の路面電車が乗り場に止まり、誰も乗って来ないことを確かめて寂し気に去って行った、もう少し駅を増やさなければ乗車率が上がることはないだろう…繁華街に買物に行く年寄に有難がられるのが関の山、それ以上何を生み出すことも無い…いつだったか、二十代の始めだったか、好き勝手に遊んでいた頃に、路面電車の軌道を歩いて終点まで行ったことがある、不思議なくらい車が通らない夜だった、平日だったからかもしれない、酔っていて、かなりご機嫌だ
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