未分化横丁、ついてこないで、刑事アメンボ/菊西 夕座
 
腹の虫がおさまって地下が平静に復すると、またちょろちょろと湧きだす求愛
外灯はそれを照らすでもなく白昼夢に面をくもらせながら、肌に錆の星座を浮ばせる
夜になっても道ばたに灯りはともらなかったが、錆の星座がきらきらとまたたいていた
十二時をさしていた針が眠気でうなだれるように、道はどんどんと折れ下がっていく
くの字の二股はいつしか六時半のあたりで重なって求愛の汚水を口の奥にとじこめる
それからまた次第に長針が短針を追い越すように、道がわかれてぐるぐる彷徨いはじめる
そうした道にもなりあぐねて、母胎でまだ「?」の形に身を屈曲させていた早熟の異端児
はやくも音符の役割を仰せつかって譜面上に
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