未分化横丁、ついてこないで、刑事アメンボ/菊西 夕座
 
上にたたきつけられたが、その拍子に潰れた
異端児は血の泡を吹き続けることで抵抗し、泡の歌は沈黙のなかで膨張し破裂した
破裂するたびに吹き上がる血がさらに泡立ち、拡散しながら膨張しては破裂し続けた
その潰れた音階にあわせて泡がときに家となり、店となり、橋となり、連なって凝固した
異様で、不実で、不規則にこわばり、ざらつき、不気味なほど爛熟し、炭化した死せる岩塊
はやくもコロンボになる前の刑事アメンボが悪をかぎつけ、岩をほじくり、膿を吸いだす
あわてふためく膿の、まだ不確かな「ふた」を、あた「蓋」として処理するアメンボの手腕は
蓋の役割を栓とみなし、栓を「線」と読み替え、その線から捜査を
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