古い古い一冊の雑誌のような人にわたしはなりたい/ただのみきや
 
ああ春霞 
それともかすみ目か

大切なのは自分のまぼろしだ
それが大きななにかを映し出した
鏡の砕けた欠片だとしても

預言者はまぼろし中で真実を見る
多くの人は現実にまぼろしを重ね見る
頭とヘルメットの癒着に気づかないまま

いのちは染みを残すだろう

地球の海へ落下した 一個の地球
苦味をまぶしたマシュマロの地球
津波が世界をひとまわり
ミセス・バビロン
その若くつややかな肉体はわなないて
快楽に鳥肌立つ
ほどけそうな唇に
あてがわれた二本の指

世界の終わりには
安物の密造酒
蜘蛛の巣ゆらす羽虫に酔って
格調高く反吐をかけ合おう
開かれた
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