鈍い夜の後の幻想/ホロウ・シカエルボク
を洗う時もあるし、食事の後になることもある、今日みたいにほとんど睡眠をとっていないというようなときは、だいたい後回しになる、歯はブラッシングのみで、歯磨き粉はつけない、それは寝る前の歯磨きのときだけだ、どれだけの人間が自覚的にやっているかわからないが、歯をひとつひとつきちんと磨くというのは意外と難しい、歯を何本か完全に失ってからそのことを覚えた、もう少し早く気が付いていればと思うことはよくあるけれど、気付くというのは気付かなかったということより幾分有意義だ、だからそれについては文句を言うべきじゃない、服を着替え、部屋を見回す、特にどうするというわけでもないのだが、必ずそうする、自分の居る場所を確か
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