鈍い夜の後の幻想/ホロウ・シカエルボク
 
り上手くその動作をこなすことが出来るのかという試行錯誤がある、そうして微調整を繰り返しながらひとつひとつの動作がスムーズになって行く、衣類の畳み方や、収納の仕方、本棚の整理の仕方、日常的な掃除の頻度や、食事の時にいただきますというかどうか、ほんの少しの違いで得るものはとても変わる、ボディ・トレーニングに例えるなら、手首の角度や呼吸のタイミングなんかで効果はまるで違う、そうしたひとつひとつの些細な哲学の数が、大人であるかどうかということの基準になる、簡単に言えば、どれだけ長い時間、自分という生きもので生きているかということになる、食事を終えると皿をシンクに置いて、顔を洗って歯を磨く、起きてすぐ顔を洗
[次のページ]
戻る   Point(2)