「持丸長者」とメディアと久坂葉子/室町 礼
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これは何回か読んだことがあるのですが、戦後、川
崎財閥は没落して、久坂葉子とおぼしき主人公は、
家に帰ると、冷や飯と一切れの大根の煮付けを寂しく
食べるという描写が冒頭に出てくるのですが、
もちろん久坂葉子の創作です。
調べてみると没落したとはいえ当時の川崎家は広大な
敷地を有する─それこそお城のような邸宅を構えてお
り、久坂葉子の父、川崎芳熊はその一角に住んで、こ
の小説が書かれた当時は神戸オリエンタルホテルとい
う超名門ホテルの社長でした。
小説にあるような咳ばかりして寝込んでいて久坂葉子
が売血して精気を保つようなそ
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