ある寒い春の日/ホロウ・シカエルボク
 
何度も潜り抜けてこようとしていた、僕はにっこりと笑いながら心のどこかで、そんなに頑張らなくてもいいのにな、なんて考えていた、そういう気持ちって多分伝わるのだ、彼女は磨り減っていきながら、それを見せまいという努力を怠らなかった、だから愚かな僕はこれでいいのだとずっと考えていたのだ、それは何か月も続いた、おそらく僕がもっとやり方を考えていれば、そんなに続くことはなかったのだろう、けれど、もしもう一度同じ流れがあったとしても、結局のところ僕はそんな風にしか動くことが出来ないだろう、持って生まれた性分というのはどうしようもないものだ、ある冬の夜、彼女は夕食のあとで静かに破裂した、お茶を飲んでふうとひとつ息
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