日本現代詩人の戦争責任/室町 礼
 
赤な炭火で尻を温められると、
  唄を歌い出す。ああ、その唄を聞きながら、厳しい冬の夜を過ごしたこ
  と、幾歳だろう。だが、時代は更に厳しさを加えて来た。俺の茶の間に
  も戦争の騒音が聞こえて来た。(略)
  さあ、わが愛する南部鉄瓶よ。さよなら。行け!あの真赤に燃ゆる溶鉱
  炉の中へ!そして新しく溶かされ、叩き直されて、われらの軍艦のため、
  不壊の鋼鉄版となれ!

     「鉄瓶の歌」
  まっ黒で、無愛想で、頑固なやつ、
  古道具屋に売れば、
  二束三文の値うちしかないのに
  みんなに可愛がられる南部生まれの鉄瓶よ。
 (略)
  まっ赤な火に尻を
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