失くしたナイフ/ホロウ・シカエルボク
 
麗な穴が空いていた、手の中のナイフを眺めた、悪戯をとぼけている猫みたいな顔をしている、武器としても道具としても絶対の信頼を約束する重みとデザイン、一度見始めるとしばらく眺めてしまう、こいつを手に入れたのは間違いじゃなかった、その度にそう思う、ナイフをしばらく眺めているといいアイデアが浮かんだ、パテみたいなものを買ってきてベッドの傷に詰め、表面を同じ色で塗ればいい、上辺の角から入っているので傷の深さは見当がつく、俺は早速着替えてホームセンターに行き、必要なものを買ってきて作業を始めた、二時間程度で終わらせることが出来た、作業自体は簡単なものなのだが、隙間無く傷を埋めるのに少し苦労した、ヘラを買ってお
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