失くしたナイフ/ホロウ・シカエルボク
ておいて良かった、色を塗ったところだけ少し浮いているが、そのうち気にならなくなるだろう、傷をそのままにしておくよりはずっといい、俺は満足してシャワーを浴びた、あとはのんびりと休日を楽しもう―夜になるまで、ナイフがどこかに行っていることにまるで気が付かなかった、最後に俺はあれをどこに置いたんだ?どれだけ考えても思い出せなかった、今夜は手に取れるところに置いて寝ようと思っていたのに、ベッドを少し移動させたりしてまで探してみたけれどまるで見つからなかった、どういうわけか今夜のうちにナイフを見つけないと駄目な気がして、夜中過ぎまで躍起になって探した、でもどこにもそれはありはしなかった、時間は午前三時に近い、睡魔ももう限界に達しようとしている、眠るのが怖い、まだナイフは見つかっていないのに…。
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