NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『テオと猫ガミ』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
ガミ、は、でっぷりと太つた大猫だつた。(この程度だつたら、【魔】ぢやないボス猫でも、ゐるなあ)「お前、名前なんてえんだ」「テオ、です」「ふん。直きにその名も不必要になる」(?)「お前の記憶、人間たちとの交歓の記憶を、俺様は吸ひ取つてやるのだ」(! やつぱり。こいつあヤバい)テオ、堪らず、駆けだした。
 カンテラ兄貴とじろさんに…、だうにか逃げるんだこの場を!

 見ると、空が薄暗い。さつき迄晴れ渡つてゐたのに。それは、蝙蝠のやうに、脚の間に被膜を持つ「ねかうもり」(猫と蝙蝠のキメラ)の群れに、陽光が遮蔽されてゐるからだつた。猫ガミが放つた「使ひ魔」たちである。
「ち! ぬかつた。舐めてたぜ
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