NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『テオと猫ガミ』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
、玄関を出やうとしてゐた。カンテラは見送りつゝ、苦りきつた顔。テオは、ピンときた。
「また、迷ひ猫探しの依頼人ですか、兄貴」「さうなんだよ。ウチが所謂何でも屋の事務所だと、思ひ込んでゐるんだ。まあよくある事だが…はた迷惑なんだよな」
 事實、「カンテラ一燈齋事務所」には、さまざまな思ひ違ひの依頼人が、やつて來る。「うちは【魔】退治専門ですから」と説明すると、皆決まつて、きよとんとした顔して、【魔】つて、何ですか? などゝ口走る。「迷ひ猫探し、の貼り紙、見ましたよ」「さう…、余程かはいがつてゐたと見えて、なにとぞ、何卒、つて五月蠅いんだ」
「今度面会に來たら、僕出ませうか?」「忙しいんだろ?」
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