NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『テオと猫ガミ』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
?」「いや、それぐらゐは…僕も事務所員としての義務、つて云ふか、沽券つてもの、ありますから」「ぢや、宜しく頼むよ」


【?】
 
 大體、さう云ふ間違ひを犯す依頼人と云ふものは、断つても断つてもやつて來る。迷ひの余り、他人ヒトの聲など、聞いちやゐないのである。
 先日の主婦、また(ご多聞に漏れず)事務所に現れた。
「だうしました?」猫が應對に出て、筆談で訊いてくる。彼女、魂消た様子だつたが、これが噂に聞く、天才猫・テオかと思ひ直し、今の心境を縷々語つてみせたものである。
「僕、お宅の猫ちやんらしき猫、見掛けましたよ」「え! 本当ですか!」で、テオ、親切心から、何処そこの猫溜まり、
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