たいくつくつ/ゴルコンダ/お題はこうだたけみ様/足立らどみ
 


家臣たちは頭を下げても
王様は答えませんでした

目を閉じると
スパイスの香りが蘇る
風に揺れる市場の光
少女の笑顔
ちぎれた
足裏の感触――。

王様はそっと足を持ち上げます
まだ大地の温もりが残っています

退屈な日々
冒険の靴に
履き替えよう

そうだ、履き替えよう

だが今度は
ただの靴ではない
歩くたびに物語りを紡ぐ靴を
踏みしめるたびに
世界が広がる靴を

王様は仕立て屋を呼びました

「新しい靴を作ろう。
――ただし、黄金ではなく、布で」

家臣たちはざわめき立ちます

王が布の靴を?

そんなもの、王の威厳に
[次のページ]
戻る   Point(4)