たいくつくつ/ゴルコンダ/お題はこうだたけみ様/足立らどみ
家臣たちは頭を下げても
王様は答えませんでした
目を閉じると
スパイスの香りが蘇る
風に揺れる市場の光
少女の笑顔
ちぎれた
足裏の感触――。
王様はそっと足を持ち上げます
まだ大地の温もりが残っています
退屈な日々
冒険の靴に
履き替えよう
そうだ、履き替えよう
だが今度は
ただの靴ではない
歩くたびに物語りを紡ぐ靴を
踏みしめるたびに
世界が広がる靴を
王様は仕立て屋を呼びました
「新しい靴を作ろう。
――ただし、黄金ではなく、布で」
家臣たちはざわめき立ちます
王が布の靴を?
そんなもの、王の威厳に
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