いつかも歩いたその道を/ホロウ・シカエルボク
 
たいなんて人間を探すのはそこらの川で砂金を見つけるのと同じくらい困難なことだろう、ここじゃいつだって、馬鹿であることが一番かっこいいことなのだ、携帯で現在の時刻を確認して、一本南にあるアーケード街へ道を変えた、といっても、なにか目的があるわけではない、ただの散歩だ―歩きたい時に歩きたい道を歩く、ただそれだけの行為だ、繁華街、と言っても名ばかりの、潰れた店の廃墟と更地ばかりの通り、近頃はホテルチェーンや高級マンションに買い叩かれ、狭い場所には都会からやって来たもの好きな連中の小洒落た店がオープンし、古くからやっている店と軒を連ねる、まるで居心地の悪い白昼夢みたいなアンバランスな景色を毎日楽しむことが
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