いつかも歩いたその道を/ホロウ・シカエルボク
 
しまった、なんの前触れもない死だった、ある日突然自宅で亡くなっていたとずいぶん経ってから聞いた、べつにそれほど懇意にしていたわけではなかったし、通うと言っても年に数度くらいのことだったから、日常に何か変化が訪れたかと言えば特別そんなことは無かった、悲しいという感情もほぼなかった、ただ、その店ではたまに朗読会をやらせてもらっていたから、また違うところを探さなければいけないなと思った、実際それは厄介な問題だった、詩の朗読会なんてイベントをやらせてくれるような店はこの田舎町ではそんなにないのだ、そもそもこの街の大半の人間は人生の大半を酒と煙草に費やして脳味噌がくすんでいる、そんな街で詩の朗読会に行きたい
[次のページ]
戻る   Point(2)