孤独感についてのメモ/由比良 倖
。私が私であることは、空洞になった胸を、春の風が過ぎていくように哀しいことだから。その哀しさが、私は好きだから。
哀しみの心地よさを抱えたまま人と会話すると、私は私を失う。ひとりきりになって数時間も掛かって、ようやく「これが私だ。私は私」と感じるようになる。
私はひとりの空間が好きだ。ひとりでQWERTY配列のキーボードを叩いている。
私は「あの場所」に行きたい。
***
言葉は固定化されたものではなく、たゆたうものだ。言葉を定義で固めたとき、あるいは言葉を定義のために使うとき、言葉は死んでしまう。だから、たゆたいをそのままに、そのまま言葉によって掬えたなら。
言
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