de verbo ad verbum / nihil interit。 ──大 岡 信論/田中宏輔
 
の目を通して、ひとやものをじっと見つめるのだと思います。
 やがて、その少年の身体は、少年自身の目に映った、さまざまなものに生まれ変わっていきます。
 

ぼくらの腕に萌え出る新芽
ぼくらの視野の中心に
しぶきをあげて廻転する金の太陽
ぼくら 湖であり樹木であり
芝生の上の木洩れ日であり
木洩れ日のおどるおまえの髪の段丘である
ぼくら                                                     
(「春のために」)

ああ でもわたしはひとつの島
太陽が貝の森に射しこむとき
わたしは透明な環礁になる
泡だつ愛の紋章になる 
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