de verbo ad verbum / nihil interit。 ──大 岡 信論/田中宏輔
 
、という言葉から、「思慮の健全さこそ最大の能力であり、知恵である。それはすなわち物の本性に従って理解しながら、真実を語り行うことなのだ。」(廣川洋一訳)といった、ヘラクレイトスの言葉(断片112)が思い起こされましたが、先生ご自身のお言葉にも、「辻さんをいい詩人だというのは、物事にぶつかったときに、反射的に別のことを考えるわけではなくて、ぶつかった物事にそのまま引き入れられるように見てしまう姿勢を持っているからです。」とありまして、これは、一九九四年の八月に発行された、「國文學」の「大岡信」特集号において、辻征夫さんについて、お書きになった文章の中にあるお言葉なのですが、それはまた、はじめてお会い
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