LET THERE BE MORE LIGHT。 ──光の詩学/神学的自我論の試み/田中宏輔
 
敗しているのだと思う。」(『ジイドの日記』第五巻・断想、新庄嘉章訳)と書いている。

 いま、日本の代表的なモダニスト詩人を三人選び出し、筆者が彼らの作品から受けた印象を、ある一人の哲学者の本のなかにある言葉を使って書き表わしてみよう。突出したモダニスト、北園克衛には、「これまでにあった最も強大な比喩の力も、言語がこのように具象性の本然へ立ち還(かえ)った姿に比べるならば、貧弱であり、児戯にも等しい。」「われわれはもう何が形象であり、何が比喩であるかが分からない。いっさいが最も手近な、最も適確な、そして最も単純な表現となって、立ち現れる。」と、また、瀧口修造には、たしかに、「あらゆる精神
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