詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
七月は初日の二日と四日目の八日とあと一日雨で流れて、実働一二日ということになった。でも、そんなことはどうでもよくて、月に一〇日もはたらければ十分だったし、一日はたらけば翌日は休めるという隔日のしごとだったから、なんとかやれそうだし、これを断ったらもうしごとは回ってこないような気もして、おもい切って引きうけたのだが、そんなわたしを迎え入れてくれたのが上田さんのチームだった。
上田さんは八二才だというのに、腰はけっこうまっすぐ伸びていたし、開けっぴろげの気のいいひとだったけれど。七四才の中川さんはすこし気むずかしくてはしかいひとだったから、トイレ掃除はもっぱら中川さんに指示を仰いで、うまく機嫌をと
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