詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
 
で、年度末であったことと、コロナ禍の影響もあってか、入会したもののなんの音沙汰もなく、どうやら年金詩人を自称するわたしのなまくらな正体を見破られたみたいで。じゃあもういいや、会費は払わずに、シルバー人材センターもなかったことにして気ままに暮らすしかないなって、ふてくされていたら六月も下旬になって、それらしき電話があった。
 若い女だった。
「いつもお世話になります。」
……はい?
「猫又木浜海水浴場のゴミ拾いと、トイレ掃除なんですけど……いかがですか?」
……はあ?
 間が抜けていた。そんなしごとが回ってくるなんておもいもしなかったのだ。シルバー人材センターといえば遊休地の草刈りとか、
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