詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
 
び詰め所の扉をロックして、中川さんとふたり、自転車を漕いで、北のトイレまで行くことになるが。延長一二〇〇メートルはある海水浴場の南から北のはしまで、おそらく一〇〇〇メートルは自転車を漕ぐことになる。
 それで、もうひとりの上田さんは通勤用のスクーターだった。
 スクーターの前かごに事業所用の黄色いゴミ袋と、トイレットペーパーを詰め込んで、上田さんはヘルメットもかぶらず、八五〇台は入るというビーチに沿ってきれいに区画された駐車場を爽快に走り抜けるけれど、中川さんとわたしは軽自動車で通っていたから、駐車場を移動する際は詰め所に保管してある自転車を漕ぐことになる。それがおそろしくペダルの重いママチャ
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