懲役/蝶番 灯
れども
どこまでがほんとうに、好き、なのかしら
あたしはこの前まで、好き、な人がいたつもりだった
毎晩むりやりでも話のたねをつくってみたりして
寂しい時は必ず思い出してみたりして
そういえばあの時あたしは
思い出してほしかった いつでも あたしのことを
どんな時だってあたしに触れていてくれなくっちゃ厭だったよ
なぜだったのかしらね
保障もできない、ことぐらい知っていた
なにもかもを信じていたんだったのかもしれない けど
よくよく思い出してみたら ね
結局あたしは妄想まで信じていたみたいよ
でもちがったんだ
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