永らえる夜の中で/ホロウ・シカエルボク
きを変えていないにも関わらずぴったりとタクシーについてくるのだった―お客さんたち、旅行でいらしたのですか、と運転手が聞くので、二人は頷いた、あんな辺鄙なところでなにしてたんです?、と運転手はさらに聞いた、酔い覚ましにね、と、出来るだけ自然に聞こえるように気を使いながら大男はそう言った、車を拾ったのは間違いだったかな、と、二人は後悔し始めていた、けれど運転手はそれ以上はなにも聞いてこなかった、しきりにバックミラーを気にしているように見えたので大男は一度後ろをう振り返ってみたがそこにはただまばらな車の流れがあるだけだった、やがて車はホテルの前でドアを開いた、二人が金を払って降りようとしたとき、運転手は
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