仮名桜待ち惚け/万願寺
 
とし、たまに弱種族を惹き付けては共に本を焼くシチューを楽しむかれらは、絶対的な個体数調整を行いながら、待っているという。星害が無くなる日、恒星がほろびる日のことを。それまでただ惚けたように、こちらの星に従うのだと、声明を移植のかなり始めのほうに出している。こちらの星では、運悪くかれらにそれなりに適した土の成分が生成されており、「存在」自体にはたしかにかれらに利益もある。存在することだけがかれらの目的であり、星害に震え、またあえぎ、どれだけ痛みと冷度にのどを焼かれようとも、みずから命を絶つ個体がない。これは異常なことだった。存在だけを志向し、滅びの日を待ち、弱種族を手なずけながら、かれらは、その思考
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