それだけが/ホロウ・シカエルボク
 
った
思えば初めての経験だった
特別感想は無かった
その後の作業を急がなければならなかったから

夕食をしながら、人生とはこういうものなのだろうか、と
ふと考えこんでしまった
女の肉は男の肉より少し柔らかく甘い感じがした
もしもこれが他の誰かに聞いた話なら
それを人生と呼んでいいものだとは思えないと即答しただろう
とはいえこれは紛れもない現在進行形の人生なのであり
奇妙だからと途中下車をするような考えも浮かばなかった
ただ生きているだけだという気がした
願望ではなく結果として
これまでを生きてきただけだった
けれどそんな積み重ねの経過としてここにこうしているものを

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