それだけが/ホロウ・シカエルボク
 

どんな能動性の中に当て嵌めれば正解なのか見当もつかなかった
だからもう一度夕食を再開した
女の肉は男の肉より少し柔らかく甘い感じがした

それから一度も人の肉を食らうことはなかった
安全に食らう機会がまるでなかったわけではなかった
けれどもう食わなくてもいいだろうという気持ちになって
それからはすべての食材を買い揃えて調理して食べた
まあ、いまはこうして
点滴で生きるしかない状態なのだけど…
1日動けないで居ると、時々奇妙なことを考える
この身が誰かに食べられることだけが足りなかったのだ
畜生、しまったな、大失敗だ
こんな身体になってからそんなことに気付くなんて
ベッドの上で激しく笑った
そのうち、頭のどこかでぷちんという音がして

意識が…

戻る   Point(1)