それだけが/ホロウ・シカエルボク
 

古い、無駄に広い浴室を初めて便利だと思った

インフルエンザにかかったと嘘をついて
一週間休みを貰い(そういうことには徹底している職場だった)
後片付けを徹底的にした
そういう掃除に適している洗剤というのがちゃんとあって
インターネットでなんとか見つけることが出来た
解体した肉は冷凍しておいた
買物はしばらく野菜だけで済みそうだ
骨は綺麗に洗って
山奥にでも持っていくことにした
もちろん石に見えるくらいに砕いて
少しずつ
山に入ってから砕けば誰も気にしないだろう

罪の意識はなかった、ただの自己防衛だった
抵抗感もなかった、ばらしてしまえばただの肉だ
人の肉
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