幽隠偶感/あらい
 
けをほどこすように、
 まっすぐに線を引く。又はたおやかにしなだれる。
 芦のようだとも簾にする。
 この手で深々と覆ったのだ、君の瞳を、私のこの手で嘯いたようにして、隠国(こもりく)の業(ごう)のように好いただけの卑語(ひご)と営みでもあったと。
 素手に夏のおわりの言うことは聴いてはいけない決まりが、よりたくさんの虫の音を火の色を際立たせ、儚いだけの夢の正夢が昂じて首を締め上げる。
 こうして絞めれば湿るほどワタシに吸い付いては離れなくなる。
 毒を含んでしまったのか、器は既に壊れていたのか。どうでもよかった、どこもかしこも醉がった。素薔薇しく酔狂な華に散らされたものだと、どうして
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